パーキンソン病の山登り“yucon”の登山と闘病の記録

難病パーキンソン病を患ってから山登りを始めた“yucon”の山行と闘病の記録

久し振りに病気の話

 最近はずっと山の話だったが久し振りに「パーキンソン病」の話に・・・。

 この病気は本当に困るというか厄介だ。確実に進行しているのがわかるがその進行が病気本来のものか薬の副作用によるものかの判断が難しいというか いまだよくわかっていない。ただし薬の過剰摂取は必ず副作用があるということははっきりしている。

 先日2/1(金)に定期診察のためにかかり付けの病院へ行った。予約は2/5だったが手持ちの薬が切れたためだ。常時5種類の薬を服用しているのだが 切れた薬はその中でも主軸である「ネオドパストン」いわゆるドパミン製剤、症状の原因である少ないドパミンを補う薬である。ここ2~3ヶ月はこの薬を処方された以上に摂取することが多くなってしまい、時には一日の規定量の倍の量を服用することも少なくなかった。そのため頓服として処方されてストックしていた分も全て服用して手持ちがなくなってしまった。無くなった揚句に3日前の仕事帰りに病院を訪ねたが時間も遅く既に閉まっていて3日間を主軸の薬なしでしのぐことになってしまった。

 そこで活躍してくれたのが先月に処方された「アーテン」ドパミンの追加で症状を緩和するのではなくドパミンと対極のアセチルコリンを抑制してバランスを取り緩和するというこれまでとは違ったアプローチをする薬剤であり、自身パーキンソン症状が出始めた時に最初に処方された薬だ。この薬のカテゴリーを「抗コリン系」と言い当時は「アーテン」ではなく「アキネトン」という名前だった。しかし「ネオドパストン」の薬効には及ばなかった。

 ドパミンの薬が普通にドラッグストアで処方箋なしで購入出来ればいいのだがそうはいかない、そんなことになれば過剰摂取で症状の悪化する患者が増える一方だろう。

 薬が効いている時間は羽が生えたように身体が軽く、効果が切れた途端に重力が5倍ぐらいに感じるほど身体が重くなる、しかも身体の上下左右でかかる重力に差があり私の場合は右半身が5倍とすると左半身は2倍程である。この差が何をもたらすかというと、例えば椅子に腰かけるとどうしても右側へ傾き倒れてしまう。正確には右前方へ肩を入れるような形で傾いて行く。常に意識して背筋を伸ばしていないと30秒と持たない。

 しかし背筋を伸ばし続けるのも大変なことでそれだけ余分に体力を使い疲労も増加する。電車通勤の私はいつも右側に手すりや壁がある座席を探す。そうでなければ知らないうちに隣の人にもたれかかってしまうからだ。

 患者は絶好調に薬が効いている状態を維持したい(もしかしたら治ったのかと勘違いするほど効く時がある)のと同時に効果が無くなった時(お箸一本が自由に持てない)の辛さから少しでも早く逃れたくて次の一錠また次の一錠と処方された分以上の摂取を続けていくのだ。結果30日分を20日で服用したりして次の診察までにストックが無くなる。ついつい貯金に手を付けてしまうのである。

 この過剰摂取の先には何が待っているか、個人差はあるが薬効時間の短縮、薬効レベルの低下、薬が効いている時と効いていない時の格差の拡大、オフ(薬効切れ)の状態での不随意運動の発現(意志とは無関係に身体が動くこと)がある。これらの症状を避けようとすると我慢しかないのである。服用までもう少し間隔を空けようとか一日の摂取量をきちんと守るというような自己管理しかないのである。副作用の無い服用し続けても効力の変わらない薬が発明されれば即ち完治療法の確立である。今年の5~6月頃には比較的副作用が少ないであろうという薬が発売されるらしいが自分の身体に合うかどうかは服用してみないとわからない。

 深い雪の下でじっと春を待つ「福寿草」のように新薬の発売まで自己管理をしながらじっと待つしかない。

 診察では規定の量を必ず守るように主治医から厳しく指導された。これも私の身体を慮ってのことと思う。次回の診察時には処方された薬の余りを持って来られるようにしますと約束した。 

 今日は節分、何かが良い方向に変化する節目であることを期待したい。

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鈴鹿山脈「鍋尻山」にて初めて見た福寿草

〈撮影日2012/3/20〉